災害時の避難で使われる段ボールベッド。冷えやエコノミークラス症候群、感染症のリスクを下げるとされ、能登半島地震でも、避難所で数多く使われている。筋力が低下している人やお年寄りでも立ち上がりやすくなり、生活不活発病を防ぐ効果が期待できるが、より安心・安全に使うために、環境を調整することが大切だ。
「家では布団だったし、組み立てるのは面倒に思えたけど、段ボールベッドは使ってみたら、思ったより快適だねえ」。それまで避難所で雑魚寝をしていたお年寄りが笑顔を見せた。
石川県理学療法士会会長で日本災害リハビリテーション支援協会でも活動する北谷正浩さんは、避難所を回り、段ボールベッドを勧めてきた。
実際、ベッドにしたら、立ち上がるときなどのひざや腰への負担が減り、食事を待つのではなく、自分で取りに行けるようになった人もいたという。「体を弱らせないよう、横になっている時間を減らすために、段ボールベッドは有効です」と北谷さんは話す。
能登半島地震では5000個が被災地へ
段ボールベッドが使われ始めたのは、2011年の東日本大震災。「清潔で温かく、動きやすくなる」のがメリットだ。
過去の論文などによると、床から20~30センチほどの高さまで漂うとされる、ウイルスがついたほこりや粉じんなどを吸い込みにくく、床に寝るよりも冬場でも10度ほど温かい。睡眠も深くなり、立ち上がるのも楽になる。動きやすくなることで、生活不活発病やエコノミークラス症候群など災害関連死の予防にもつながるという。
内閣府によると、東日本大震災の翌年に災害救助法の備品リストに加わった。国によるプッシュ型支援として被災地に送ったのは、16年の熊本地震からで、熊本地震では2500個、18年の北海道胆振東部地震では1400個、今回の能登半島地震では5000個ほどが被災地に送られた。
ただ、段ボールベッドを安全に使うには注意も必要だ。
石川県内には少なくとも10種類以上の段ボールベッドが納入され、幅は70~100センチ台、高さもメーカーによってばらつきがある。
■滑り止めシートや手すりの追…
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