第11回「保守本流」どこへ行く 政策路線から不祥事へ、今や風前の自民哲学

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編集委員・藤田直央
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 戦後の自民党長期政権を支え、約30年前には護憲派の宮沢喜一首相が体現した「保守本流」。宮沢氏が残した政治行動記録(日録)からも軌跡をたどることができるその意味は、今やぼやけるばかりだ。

 保守本流とは何かを性格づけた時代、対応する政策、党内の勢力図が激変し、近年では改憲や防衛力強化を唱える者こそ保守というイメージもある。さらに我こそ本流という各派閥が、政策集団として党を支えるどころか、裏金問題にあらわなように党をむしばみ続けている。

 もともとの保守本流は、政策的には「吉田路線」として知られる。敗戦直後の占領期や1952年の主権回復前後に首相を務めた、元外交官の吉田茂氏が歩んだ道だ。防衛力強化を急がず経済復興を優先。敗戦で生まれた新憲法の下での抑制的な防衛政策と、核大国の米ソが対立した冷戦下で日本が米国側についた日米安全保障体制との相互補完でもあった。

 55年に吉田氏が率いた自由…

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この記事を書いた人
藤田直央
編集委員|政治・外交・憲法
専門・関心分野
日本の内政・外交、近現代史
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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年2月28日17時15分 投稿
    【視点】

    書きました。故・宮沢喜一元首相が遺した政治行動記録(日録)に関する連載の一片ですが、たまたま、派閥の後継者にあたる岸田首相が自民党の裏金問題で自ら国会の政治倫理審査会に出席すると表明して大騒ぎとなったこの日に重なりました。  2021年の

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