次期戦闘機の輸出解禁 なぜ公明党は容認方向へとかじを切ったのか

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国吉美香 松山尚幹
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 日英伊3カ国で共同開発中の次期戦闘機をめぐり、自民、公明両党は8日、第三国への輸出解禁に向け、今月中に合意を図ることで最終調整に入った。両党政調会長が同日、国会内で会談し、輸出容認を前提に、輸出条件の「歯止め」の検討を急ぐことを確認した。

 両政調会長はこの日の会談で、政府側から歯止め案を聞き取り、今後の対応を協議した。輸出解禁に慎重な立場を急速に軟化させている公明側の高木陽介政調会長は会談後、「我が党も理解は深まっている。党内で議論を進めて合意に向け努力したい」と述べた。自民の渡海紀三朗政調会長は「合意に向けて着々と前進している」と語った。

 歯止め策として、両党は輸出解禁の対象を国際共同開発品全般ではなく、次期戦闘機に絞る方針。戦闘機の輸出が紛争の助長を招く懸念を軽減しようと、輸出先は「戦闘国」を除外しつつ、日本と「防衛装備移転協定」を結んでいる国に限る方向だ。政府が実際に輸出する際の決定プロセスでは、与党との事前調整の運用をより厳格にする方策を検討する。

 輸出解禁をめぐり、公明は実務者レベルで昨夏に一時容認に傾いたが、党幹部は11月末以降に態度を硬化。「国民の理解」を主張する公明側の要求に応じて岸田文雄首相が今月5日、輸出解禁の必要性を国会で答弁し、公明も容認に転じる方向となった。

 日英伊で共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出解禁をめぐり、「平和の党」を掲げて慎重姿勢を示してきた公明党が態度を軟化させ、自民党との合意へと最終調整に入った。なぜ公明は輸出解禁容認の方向へとかじを切ったのか。

 「党内で議論を進めて合意に向け努力したい」。8日、自民の渡海紀三朗政調会長との会談を終えた公明の高木陽介政調会長はこう語り、与党合意を得るために今後は「歯止め」の検討を進める考えを強調した。

 公明は昨秋以降、次期戦闘機…

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    林尚行
    (朝日新聞GE補佐=政治、経済、政策)
    2024年3月9日10時21分 投稿
    【視点】

    今回の自公のせめぎ合いの特徴は、公明中堅というよりもトップに近いところから「待った」がかかったことではないかと思っています。実務レベルでは「ほぼ妥結していた」(関係者)ところから、波乱が起きました。 公明トップである山口代表が示した強

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