裏金事件にあえぐ岸田政権の命運がかかる衆院トリプル補選の告示まで1カ月を切った。不信をはね返せず、「0勝」に終われば政権運営はたちまち立ちすくみかねない。野党にとっては、次の衆院選で自民批判の受け皿になれるかどうか前哨戦の意味を持つ。
16日、東京・永田町の自民党本部で開かれた全国幹事長会議。地方の幹部からは裏金事件への有権者の憤りが紹介された。出席者によると、ある県連幹部は「県連の電話が鳴りやまない。出たら1時間ほど批判される。非通知は拒否せざるを得ない」と語ったという。幹事長ポストのほとんどは地元の都道府県議が務め、選挙を含む地方の党運営の実務を取り仕切る。平日のほとんどを東京で過ごす国会議員に比べ、日ごろから身近な有権者の声が届く。この日の会議で最も多く上がったのは、党への不信感を早く拭い去りたい焦りの裏返しか、裏金議員に対する早急な処分を求める声だったという。
岸田文雄首相は会議で、4月16日告示、28日投開票の衆院3補選に触れ、「日本の政治を左右する課題に立ち向かっていかなければならない」と力を込めたが、三つの選挙区それぞれが政権の苦境を映し出している。
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