無料の洗剤1個取ったら「窃盗」で懲戒解雇 処分は妥当?重すぎる?

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金子和史
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 大型商業施設で、はす向かいに店舗を構える携帯電話ショップと銀行。携帯ショップの店頭には洗剤が並べられ、「ご自由にお取り下さい」と書かれていた。銀行の副店長が一つ取ったところ、懲戒解雇された。「解雇は重すぎる」と銀行を訴えた副店長。裁判の行方は――。

 舞台となったのは長野県内にある商業施設。洗剤は、販売促進の無料提供品として、携帯ショップの前に置かれていた。

 2023年3月の朝、同じフロアの斜め向かいにあった銀行の副店長は、出勤途中に洗剤を一つ取った。携帯ショップはまだ営業開始前だった。

「窃盗だ」と問題視

 携帯ショップの従業員が不審に思い、防犯カメラを確認したことで発覚。携帯ショップ側は「営業時間外に販促品を取るのは窃盗だ」と問題視した。

 銀行の副店長は店長と一緒にその日に謝罪し、店長やエリアマネジャーらはその後も何度も謝罪した。

 携帯ショップ側は「副店長が同じフロアにいると安心して仕事ができない。異動させてほしい」と伝えた。

 銀行側は、副店長だけでなく…

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この記事を書いた人
金子和史
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
事件、司法
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    磯野真穂
    (東京工業大学教授=応用人類学)
    2024年3月22日8時8分 投稿
    【視点】

    「ご自由にお取り下さい」と書かれた洗剤を、1つとったことから始まった事件。この事件に投資された、時間とお金と労力は、洗剤数千個分くらいになっているのではないでしょうか。 この事件の本質には、洗剤とは全く無関係の、銀行と携帯ショップの元々の

    …続きを読む