雑談がヤングケアラー支援の糸口に 高校「居場所カフェ」の取り組み
本来は大人が担うような家族の世話や家事などを日常的に行う「ヤングケアラー」を、初めて支援の対象として明文化する「子ども・若者育成支援推進法」改正案の国会審議が、近く始まる。
相談窓口の設置など、ヤングケアラー支援に取り組む自治体は少しずつ増えている。
しかし、子どもたちと接する機会が多い学校現場の対応は、まだ進んでいない。
国の2020年度(中学・高校)と2021年度(小学校)の調査によると、「ヤングケアラーという言葉を知っているが、特別な対応はしていない」と答えた学校は、小学校51%、中学校38%、全日制高校53%。いずれも「意識して対応している」より多かった。
子どもたちへの調査でも、家族を世話していることの相談相手として「学校の先生」を選んだ高校生は18%。スクールソーシャルワーカー(SSW)やカウンセラーは8%、養護教諭も4%にとどまった。
そんななか、学校内に「居場所」をつくることで、ヤングケアラーの発見や支援に生かそうとする取り組みが始まっている。
NPOが主催、食料支援も提供
2023年12月半ば。お昼すぎ、滋賀県立大津清陵高校(大津市)の定時制昼間部の生徒たちが、次々と「ほっとルーム」にやってきた。
同市のNPO法人「こどもソーシャルワークセンター」が主催する「居場所カフェ」だ。さまざまな理由から生きづらさを抱える生徒たちをサポートするために2018年に始まり、ヤングケアラーの発見や支援も狙いの一つ。月1~2回の開催で45分間。教員も顔を出す。
この日は約30人が参加した。ジュースやお茶を飲みながらお菓子を食べたり、ゲームや卓球をしたり。NPOに寄付された食料などを配るフードパントリーも人気だ。この日はバナナとお米、カイロを多くの生徒が持ち帰った。
同NPOの職員は、何げない…
- 【視点】
ヤングケアラーの問題にしっかり対応するためにも、学校の過酷な労働環境の改善が必要だと考えます。先生たちが精神的、肉体的に余裕を持つことができれば、子どもと向き合う時間を十分にとって信頼を得られるケースが増えるでしょうし、積極的に学校外との
…続きを読む