11年にわたった「異次元」の金融緩和策の功罪をどう考えるのか。日本銀行の植田和男総裁は朝日新聞の単独インタビューで、その副作用を認めつつも、景気を支える効果の方が大きかったとの認識を示した。大量に買い入れた国債は、いずれ残高を減らしていくとの考えを明確にした。
植田氏は戦後初の学者出身として、昨年4月に総裁に就いた。その下で日銀は、7月と10月の金融政策決定会合で、国債を大量に買い入れて長期金利を低く抑え込むイールドカーブ・コントロール(YCC)の上限を緩める修正を重ね、今年3月に「異次元」の金融緩和策の3本柱を一気に転換した。
民間銀行が日銀に預ける預金の一部にマイナス0・1%を適用するマイナス金利を解除し、YCCの枠組みを撤廃、さらに上場投資信託(ETF)の買い入れも終了した。これにより、短期金利を0~0・1%に操作する「普通の金融政策」(植田氏)に戻った。就任1年を待たずに政策転換を果たしたことに、植田氏は「物価情勢が好転し、それに合わせて政策枠組みを対応させたことに尽きる」とした。
マンション価格高騰も「全国的な広がりはない」
ただ、11年にわたった大規…