不仲な両親が心配な娘 上野千鶴子さんが指摘する「真の問題」とは

有料記事悩みのるつぼ

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悩みのるつぼ 相談者(20代女性)

 20代の女性です。初めての出産で実家にほぼ10年ぶりに帰りました。すぐに、父と母の間に不穏な空気が流れているのを感じました。

 母が言うには一番の悩みは、父の食事の世話。夕食がまだ準備できていないと知ると「なら要らない」と言ってみたり、「減量していたが、友人に心配されたから今日から食べる」と言ってみたり。はたまた「お風呂に入ったら気分が変わった。やっぱり要らない」など、気分で言うことがころころ変わる。

 数年前からの傾向だそうです。父は50代後半。私はモラハラに見えますが、母は「男の更年期かしら?」とも言っています。

 私もご飯の準備を手伝っていますが、いろいろなことを言って家族を振り回す父の勝手な行動に参りました。里帰りしてから2週間ほどで、顔を合わせるのもイヤです。これでも母いわく「孫が来ているからマシ」だそうです。

 同居中の弟も遠くない将来家を出るでしょう。両親だけの生活になるのが不安。自立している兄も弟も「父のことは気にしないのが一番」と言いますが、うちの家族、どう見えますか?

回答者 社会学者・上野千鶴子

 両親が不仲、というより、父親がかつてより自分勝手にふるまうようになったせいで母との関係が険悪になったという状況でしょうか。実家に10年戻らなかったというあなたも、両親から距離を置きたい気持ちがあったのでは。

 50代後半、定年を目前にして、出世競争にはとっくに決着がついている年齢ですね。食事をほぼ毎日自宅でとっているなら、閑職にあるかも。自分勝手なふるまいには、男としての焦りやプライドも関係しているかもしれません。それを「男の更年期かしらね」というお母さんは、寛大すぎる、というより、それを口実にして、真の問題に向きあおうとしていないように思えます。

 振り回されているのは振り回…

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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年4月13日10時0分 投稿
    【視点】

    アラフィフの不肖・私、10年後、家族をこの相談者さんのように悩ませてはいけないと固く誓いました。その一方で、ここまで度が過ぎてはないけれど、思い当たる節、あります。ワガママって、相手に頼っている、相手に依存しているから、発動してしまう感情で

    …続きを読む