突然言われた「一人っ子はさみしいね」 困る母、小4がつづった思い

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城真弓
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 旅行中、東京・浅草の仲見世通りからホテルへと向かうタクシーの中だった。

 「兄弟は?」

 ハンドルをにぎる運転手の男性が話しかけてきた。

 「一人っ子はさみしいね」

 悪気はなかったんだろう。何げない世間話だったと思う。

 でも、後部座席にいた能美になさん(10)は、隣に座っていた母(39)の表情が忘れられない。

 困ったような、何とも言えない顔。

 母は旅行に行けば、積極的に現地の人とコミュニケーションをとる人だ。負けず嫌いなところもあるから、議論の場では反論したり、自分の意見をはっきり言ったりすることもある。

 その母が言葉を濁した。

 そんなに答えにくい質問だったのかな――。

 になさんは北九州市で母と2人で暮らす。それまでも母と出かけると、「2人だとおうちの中も静かでしょう」と声をかけられることがあった。

 もしかしたら、母はそのたびにあんな表情をしていたのかもしれない。でも、あまり気にしたことはなかった。

「一人っ子の私って、さみしいの?かわいそうなの?」

になさんは自分の気持ちを作文にまとめ、その作文はコンクールで最優秀賞を受賞しました。記事の後半で全文紹介します。

 実は、2023年3月に行っ…

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この記事を書いた人
城真弓
西部報道センター北九州総局|教育・子育て、北九州市政担当
専門・関心分野
地方・教育・療育・子育て・食・防災
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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2024年4月30日23時10分 投稿
    【視点】

    一人っ子の娘がいる父親として、能美になさんの作文は涙なくして読めませんでした。 一人っ子だからさびしいという見方がいかに偏っているか。それをになさんは自身の経験から力強く描いています。生活経験を掘り下げた先に立ち現れる普遍性なるものに、私

    …続きを読む