野口冨士男「戦前日記」刊行へ 越谷市立図書館
佐藤純
埼玉県越谷市立図書館は、越谷ゆかりの私小説作家、野口冨士男(1911~93)の関連資料を集めた「野口冨士男文庫」の開設から今秋で30年になるのを記念し、「野口冨士男戦前日記」を命日の11月22日に刊行する。野口の日記の中から戦前・戦中期の未発表部分を収録する。
戦争末期の軍隊生活を記録した「海軍日記」、戦後に一時暮らした越谷での日々をつづった「越ケ谷日記」がすでに刊行されており、今回の「戦前日記」の刊行で、青年期から人生半ばにさしかかった時期の日記が完結する。
「戦前日記」に収録するのは、33(昭和8)年から、海軍に召集された44(昭和19)年までの期間。図書館によると、野口は約60年で100冊近い日記を残したが、そのうち4冊がこのころのものだという。当時、野口は、文化学院を卒業し、出版社や新聞社で働きながら同人雑誌などに執筆を続けていた。
図書館によると、33年1~…