ふるさと納税で税金が最も流出している東京都が「反撃」を強めている。ここにきて返礼品を始めたり、高級な「湯沸かし」で450万円の寄付を募ったりする自治体が出てきた。ただ、都民のほかの自治体への寄付は突出して多く、「黒字」は簡単ではなさそうだ。
人間国宝作の返礼品で競争参入する区も
東京都千代田区は2008年の制度発足から16年後の今年、初めて返礼品の提供に乗り出す方針を決めた。これまで、返礼品競争に加わってこなかったが、「ここ3年ほど一気に減収が増え流出が止まらず、看過できなくなった」という。23年度の流出額は約17億円、区民税の9・3%に当たる。
6月に区内の事業者に返礼品を募り、10月にもふるさと納税のポータルサイトで受け付けを始める予定だ。豊富な文化、観光資源など、区の様々な魅力を発信できる返礼品を設定したい考えだ。
東京都北区は高級返礼品で反転攻勢に出る。今年度、返礼品に加えたのは寄付額450万円の湯沸かしと、300万円の急須。区内在住で、重要無形文化財保持者(人間国宝)の鍛金工芸作家、奥山峰石(ほうせき)さん(87)が手がける。どちらも一枚の銀材に繰り返し熱を加えながら、金づちで打ちのべて成形したもの。湯沸かしには長寿の象徴である亀甲文様、急須には横筋文様を丁寧に打ち込んだ。
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