第2回かつての交流もういらない 高齢化で人手不足の欧州、でも閉ざす理由
青く茂った街路樹が立ち並ぶオランダ東部の閑静な住宅街に、横断幕や立て看板がずらりと並ぶ一角がある。
「難民による犯罪の増加は事実」
「難民申請者センターはいらない」
人口2万4千人ほどのオルデブルク。昨年6月、この街に突如、難民の受け入れ施設を設置する計画が持ち上がった。
「そんなものができるなら、ここには越してこなかった」
予定地の近くに夫と移り住み、農場を始めたばかりだという女性は言った。普段、家のドアに鍵はかけず、車の鍵も付けっぱなし。施設ができれば、そんな生活も難しくなると感じる。
元々、この街では1990年代の旧ユーゴ紛争から逃れた難民を受け入れていた。当時は教会などで交流があったという。
だが今回、オランダ政府の難民申請者収容機関が街に対して難民申請者300人の受け入れを要請したことに、多くの住民は反発した。
その理由は、10年ほど前にさかのぼる。
中東やアフリカから100万…
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- 【解説】
様々な意味で「リベラル」なオランダは難民や移民の受け入れにも寛容であり、国際色豊かな社会になったが、それでも難民を受け入れないよう扉を閉ざすようになっている。それは量の問題なのか、それとも質の問題なのか。限られた数の難民・移民であれば社会に
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