「退職パッケージプランのご提案」
2019年冬。そう書かれた封書を社長から直接、手渡された。
外資系の広告会社に勤めていた小池秀和さん(62)は、60歳定年まであと2年足らずだった58歳の時、リストラを宣告された。
当時の職位は、社内に3人しかいない、営業部長相当のビジネスディレクター。定年後も再雇用してもらい、年金の支給が始まる65歳まで勤め上げたかったが、かなわなかった。
会社都合による退職のため、退職金は割り増しで支給された。子どもはおらず、夫婦2人暮らし。貯金と共働きの妻の収入を加えれば、当面は生活に困らないように思えた。
それ以上にこみ上げたのは、「サラリーマンという生き方」を奪われる恐怖だった。
食品卸を振り出しに、2度の…