「ドローン戦争」で変わる人間と技術の関係性 尊厳なき殺害許すのか
ロシアとの戦争で、ウクライナは戦力差を埋めるためにドローンを使い、AI(人工知能)に制御される自爆型ドローンも投入している。人間を介さずに兵器が攻撃目標を設定して殺傷する「自律型致死兵器システム(LAWS: Lethal Autonomous Weapons Systems)」の開発を進める国々もある。
この動きをどう考えたらいいのか。戦場でAI兵器が人間を大量に殺害していく先に、何があるのか。科学技術史が専門で国際交流NGO「ピースボート」共同代表を務める畠山澄子さんに話を聞いた。
「マンガ入門 殺人ロボットがやってくる!?」を出版したのは、2018年。非人道的な兵器として規制対象にすることを議論すべきだと考え、軍事ドローンや自律型致死兵器システム(LAWS)の問題を取り上げました。
米国は01年の同時多発テロ以降、「テロとの戦い」を理由にアフガニスタンやパキスタンなどでドローン攻撃を仕掛け、誤爆で多くの民間人の犠牲を生んできました。ドローンを使う理由として、自国の兵士を巻き添えにせず、ピンポイントで標的を殺害でき、経費を削減できるなどといった合理性が語られました。
しかし、一般市民を巻き添えにするのは国際人道法違反です。ドローンの誤作動などで重大な問題が起きたときだれが責任を取るのか、という問題意識が当時すでにありました。
出版から6年経ちましたが、戦争や紛争での軍事ドローンの投入が一気に加速している印象を受けています。このドローンの拡大をどう理解すればいいのか。戦争のあり方とともに、人間と技術の関係性が大きく変わろうとしているのではないでしょうか。
現在、人間の介入なしに、機…
- 【視点】
ドローンに限らず、ほとんどの科学技術は戦争と密接な関係がある。科学技術は戦争で勝つために進歩してきたというのは言い過ぎだとしても、戦争が科学技術発展の大きな契機であり原動力であったことは歴史的な事実である。 ドローンやAIの兵器利用を規制
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