【そもそも解説】旧優生保護法とは 約半世紀、2万5千人に不妊手術

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野口憲太
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 旧優生保護法のもとで行われた強制的な不妊手術をめぐる訴訟で、最高裁が3日に判決を言い渡します。特定の病気や障害があるとみなされた人に、国が不妊手術を強いるという人権侵害を招いた法律はなぜつくられ、なぜ約半世紀ものあいだ維持されたのか。解説します。

 Q 旧優生保護法とは?

 A 戦後間もない1948年、超党派の議員立法でつくられた。目的の一つは「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことだった。遺伝性疾患などとみなされた人に対して、本人の同意なく、子どもをできなくさせる不妊手術を可能にした。

 Q 不妊手術はどのくらい行われた?

 A 国会が昨年公表した調査報告書によると、同法の下で少なくとも約2万5千件行われた。

 遺伝性疾患を理由とした強制手術が1万4566件(58%)、同意を得て行われた手術が8518件(34%)、遺伝性ではない患者への強制手術が1909件(8%)だった。

 手術件数は1950年代が最も多く、手術を受けた全体の約4分の3は女性だった。

 Q 強制手術の要件は?

 A まず、不妊手術が「公益上必要」だと医師が認めること。さらに、都道府県ごとに設置された審査会に申請して、認められることだった。52年の法改正で、遺伝性ではない精神疾患などの患者にも対象が広がった。

 同意を得たとされる手術でも、本人の意思確認が不十分だったり、福祉施設や家族からの要望でやむを得ず同意したりした事例も多いとみられる。本当に「遺伝性」なのかどうかの判断も恣意(しい)的だったという指摘もある。

 また、「真にやむをえない限度において」としつつ、手術を強制する方法として、身体拘束や麻酔薬、手術を受ける人をだますことも容認していた。旧厚生省はこの内容を統一見解として都道府県知事に通知している。

 Q 今の憲法は同法より前にできているが、憲法上、強制手術は問題にならなかったのか。

 A 49年、旧法務府が、本人の意に反して手術を強いても憲法の精神に反しない、と旧厚生省の照会に対して回答している。「不良な子孫の出生を防止する」という「公益上の目的」を同法が掲げていることが理由とされた。

 Q 問題視はいつから?…

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