第3回M&A後に倒産、「借金1億円」背負った創業家の逆襲 訴訟の行方は
藤田知也
新潟県燕市で祖父の代から続く部品製造会社を、M&A仲介で譲渡してから半年後の昨夏。前社長(70)の自宅の郵便受けに1通の不在連絡票が入った。
郵便局へ郵便物を取りに行くと、差出人は地元信用金庫の支店長。「通知書」と題した文書に、こう書かれていた。
「期限の利益を喪失しました。つきましては、連帯保証人たる貴殿の下記債権の残元金と利息・損害金を直ちにお支払いください」
昨年2月の株式譲渡後、会社は累計8千万円を「預け金」として新たな親会社に送金。必要な資金を返してもらえず、7月に2度目の不渡りを出し、事実上の倒産となった。
融資残高は複数の金融機関で計1億円近く。同様の通知書はその後も立て続けに届いた。前社長は「次の手」を打った。
「資産流用を狙った欺罔(ぎもう)的取引」
昨年10月、株式譲渡契約の…
- 【視点】
中小企業の経営課題について耳にするなかで、中小企業は地域内で分業していることも多く、1つの会社の廃業がその他の会社に影響して地域経済に大きな影響を与えたりもするということが気になっている。この連載は続編であり、過日配信された同じテーマの連載
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