第4回つくられた「感じの良いファシスト」 仏政界初のインフルエンサーに

有料記事右翼の素顔 「脱悪魔化」の末

聞き手・宋光祐
[PR]

 7日にあったフランス総選挙で大きく躍進した、極右の流れをくむ右翼政党「国民連合(RN)」。マリーヌ・ルペン氏が初代党首で父のジャンマリ氏を引き継いで2011年に2代目党首に就任して以来、移民排斥など過激な主張を封印して庶民に寄り添う姿勢を強調する「脱悪魔化」戦略を進めてきました。フランスの大手民放や公共放送で数々の調査報道ドキュメンタリーを手がけ、約15カ月間にわたって現党首ジョルダン・バルデラ氏を中心にRNを取材したフリージャーナリストのピエールステファヌ・フォール記者に、今のRNやバルデラ氏がどう見えるか、聞きました。

【連載】右翼の素顔 「脱悪魔化」の末

 ジョルダン・バルデラ氏が象徴する右翼「国民連合(RN)」の「脱悪魔化」戦略。長期にわたってバルデラ氏を取材してきたピエールステファヌ・フォールさんは、その戦略の裏にある姿に懸念を抱いている。

 ――長期間の取材を通して、バルデラ氏にどんな印象を持ちましたか?

 バルデラ氏は本質的な中身よりも表面的なコミュニケーションが優先される今の時代を象徴する存在です。政治活動よりも自分のイメージをつくることに取り組んできました。彼はフランスでは政治の分野で初めての「インフルエンサー」だと、私は考えています。

 2019年に当選した欧州議会議員としての任期中、本会議でスピーチする自分を撮影し、それをSNSに投稿する。女性の権利や環境問題に熱心なイメージを拡散する。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」では、冗談を言ったり、コーヒーを飲んだりする政治とは関係ない動画をたくさん公開しています。有権者に親密さを感じさせるためだと言えます。

2人の出会い、つくられた「感じのいいファシスト」

 ――著書「偉大な代役」(未邦訳)の中では、バルデラ氏とマリーヌ氏の関係について指摘しています。

 バルデラ氏がRNの党首に就いたのは、マリーヌ氏が彼を後継者として選んだからです。

 2人の経歴は対照的です。ル…

この記事は有料記事です。残り1591文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
宋光祐
パリ支局長
専門・関心分野
人権、多様性、格差、平和、外交