広島市の被爆者、切明(きりあけ)千枝子さん(94)が8月6日に歌集「ひろしまを想(おも)う」を出版する。人生の折々に詠んだ短歌500首からは、壮絶な被爆の記憶が79年経ってなお、日常に影を落としていることが読み取れる。
切明さんは当時、15歳だった。けがをした足の治療で病院に向かう途中、爆心地から約2キロで被爆。学校で大やけどを負った下級生を救護し、校庭に穴を掘って遺体を燃やした。
《燃えながら泣きながら母校へたどりつき果てたる友よ八月六日》
「前の日に手を振って、『また明日ね』と別れた友だちが、無残な姿で死んでいった。決して忘れてはいけないことです」と切明さんは話す。
歌集の編者は、3年ほど前から切明さんと交流を続ける一橋大大学院の院生、佐藤優さん(23)だ。この春まで、広島市立大の学生だった。
学部生のころ、切明さんの証…
DO YOU KNOW NAGASAKI? アメリカで聞くナガサキと原爆
原爆の使用は「正当だった」と考える人が多いとされるアメリカ。被爆者と直接対話した人々は、何を感じたのか。[もっと見る]