膵がん悪性化の仕組み オルガノイドで一端を解明 治療法開発に期待

有料記事

瀬川茂子
[PR]

 膵臓(すいぞう)がんが悪性化する仕組みの一つを慶応大の佐藤俊朗教授らのグループが解明した。酸素が少ない環境で細胞の特徴が大きく変わることを突き止め、変化を抑える薬も見つけた。新たな治療法開発につながる可能性があるとしている。

 がんの多くは血流が豊富な場所で大きくなるが、膵がんは、血流が乏しく栄養や酸素供給が少ない環境でも増えていくことが知られていた。そうした環境は膵がんの悪性化にどうかかわるのか。グループは、患者のがん組織を体外で培養して、ミニ臓器とも呼ばれる「オルガノイド」を作製して探ることにした。

 低酸素の環境で培養すると、悪性度の低いがんはあまり増えないが、悪性度が高いがんは、発育できた。正常組織から作製した膵がんのオルガノイドを低酸素で2カ月培養すると、悪性度が高いタイプに変化することもわかった。

 悪性度が高いがんでは、「ア…

この記事は有料記事です。残り452文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
瀬川茂子
科学みらい部|大阪駐在
専門・関心分野
生命科学、災害、科学全般