右か左か 妻の助けに感謝 奥田裕久さん

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■カフェ日和 奥田裕久さん(ユーチューバー)

 私は右も左もわからない。

 地理的な話ではないし、政治的なことでもない。本当に右と左がわからなくなり、私は混乱するのだ。

 具体的な例で言おう。妻とドライブをしている。助手席の妻がナビを見ながら「次の交差点を右ね」と私に伝える。私は「はい右ね」と答えつつハンドルを左に迷うことなく切る。行進などで「右向け右!」とか急に言われても理解ができない。焦るとますますダメで、ひとりだけ反対方向を向いてしまう。英語の「ライト」「レフト」になるといよいよ混乱して、イヤホンをどっちの耳につければいいのかわからず途方に暮れてしまう。

 それが「左右盲」という症状だと知ったのは数年前のこと。左右で常に混乱する私にあきれて……いや心配して妻がいろいろ調べたところ、病気や障害ではないが、私のように瞬時に右か左かの判断ができない人は少なからずいるらしい。利き手の矯正をした人に多い症状で、私も子供の頃、左利きから右利きに変えさせられていたので合点がいった。

 とはいえ、当時の私の仕事はテレビ番組の企画や構成で、左右が多少混乱したところで誰かに迷惑をかけるわけでもないし、まあいいやとそのまま放置して現在に至っている。

 今も私の症状は変わらないが、妻とのやりとりはずいぶん変わった。妻は私と話すとき、必ず手で左右を示してくれるし、助手席で道案内するときは右折・左折のハンドサインをしてくれる。それが無理なときは、私が焦らないように優しく「お箸を持つ方ね」と言ってくれる。この様子を見た人はみな笑うが、いやいやよくできた妻なのである。

《通信欄》

 肩書がNPO法人代表から「ユーチューバー」になりました! 60歳目前でちょっと恥ずかしいですが、「おっ!チャンネル」よろしくです!

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