身も心も癒やされた豚の角煮 台湾出身の店主が我が子に伝えた母の味
マハール有仁州
住宅街の一角に、「母の味」を求めて行列ができる。JR船橋駅(千葉県船橋市)から南に約1キロ、創業36年の台湾料理店「慶龍(チンロン)」だ。
「謝謝!」。昼も夜も元気な声が響く。厨房(ちゅうぼう)から笑顔であいさつをするのは、小出士傑(のりたけ)さん(68)。一番人気は酸辣湯麺(サンラータンメン)と魯肉飯(ルーローファン)を半分ずつにしたセット。魯肉飯に乗せる豚の角煮は、小出さんが忘れられない味だ。
しょうゆの香りと砂糖の甘みが調和
1955年の台北で生まれた。現代の高層ビルはない時代。戦前から台湾島に住む両親と一軒家で育った。当時は白色テロのさなかだった。学校のテストで60点を下回ると先生にむちでたたかれ、髪の長さが基準を超えると軍人に殴られた。
体に痛みが残ったまま、帰宅…