第5回認知症の人とタブレット開発 「発見と学び」の過程こそ共生への道

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 「タブレットが音声で呼びかけてくれるのは安心です」

 「薬の飲み忘れの表示は、朝昼晩だけでなく、食前、食後もあるといいですね」

 鳥取市にある電子機器メーカー「LIMNO(リムノ)」で7月にあった認知症の人との意見交換会。同社が開発中の「ヘルプタブレット」(仮称)を操作しながら、認知症の人たちが、使用感や要望を社員に伝える。鳥取市で活動する「認知症本人ミーティング」のメンバーたちだ。

 同社が、認知症の人らの日常生活に役立つタブレットの開発をめざし、2022年6月に始めた意見交換会は6回目。来春の実用化に向け、今回は、薬の飲み忘れ防止や、声かけガイドの機能について意見を聞いた。

 同社は、通信教育やカラオケ、飲食店の注文用タブレットなどが主力商品で、タブレット端末のメーカー別国内出荷台数は4位(2023年度、MM総研調べ)。今後増えると予想される認知症の人も含めた高齢者が使いやすいタブレットの開発を始めていた。

 ただ、同社にとっては未知の世界。どんな機能があればいいのか手探りだった。

 同社の木村裕一社長(65)が、「認知症の人の困りごとをご本人から聞き、できることを一緒に考えたい」と鳥取市に協力を依頼。認知症の人同士が語り合う「認知症本人ミーティング」を紹介され、同社での意見交換会が始まった。

 認知症の人との出会い。それは、認知症の人に対する見方を変える「大きな発見と学び」だと、木村社長は話す。

 こんなことがあった…

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この記事を書いた人
森本美紀
くらし報道部
専門・関心分野
障害福祉、介護、認知症、生きづらさ、単身社会 、高齢化するマンション