迫る水、進まぬ軽トラ、胸までつかった70代夫婦は流木に…能登豪雨
石川県の能登北部を襲った21日の豪雨では、多くの住民が急な冠水や自宅の浸水の早さに、驚きや恐怖を口にした。山あいで妻と2人で暮らしていた男性は、深まる水の中、流木に体を乗せて難を逃れたと語る。
21日午前6時ごろ、竹島忠男さん(76)は、イノシシのわなを確認しようと外に出た。小雨のなか、目に映る風景はいつもと変わらなかった。
元日の能登半島地震にも耐えた自宅、脇を流れる小川、隣に広がる畑。
午前8時ごろ、激しい雨が気になって再び外に出ると、様子は一変していた。川から水があふれ、白菜や大根を植えた畑は茶色い水たまりになっていた。
その30分ほど前、浦上地区に出された避難指示には気付いていなかった。
「逃げろ!」
近所に呼びかけた後、家の向かいにとめた軽トラックに妻の益江さん(74)と乗り込み、エンジンをかけた。すでに前方の道は冠水していた。
背後からも、川からあふれた水がどんどん押し寄せる。水位は増す一方だった。車での避難を諦めて降りようとするが、水圧のせいかドアは開かなかった。
ハンドルを回して窓を開け…
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