USスチール買収計画、なぜこじれた? 三つのキーワードで読み解く

有料記事

ワシントン=榊原謙
[PR]

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、バイデン米大統領が禁止すると発表した。なぜここまでこじれてしまったのか。日鉄は何を見誤ったのか。労働組合、大統領選、対米外国投資委員会(CFIUS)という三つのキーワードで経緯を読み解く。

 日鉄がUSスチールを約141億ドル(約2兆円)で買収する方針を表明したのは、2023年12月18日だった。経営再建中のUSスチールは同年夏、自力での再建をあきらめ、身売りを表明。米同業との争奪戦の末、日鉄による買収で両社が合意に達した。

 いまや中国が世界粗鋼生産量の半分を占める。世界シェア4位の日鉄は、先進国最大の消費地・米国への本格参入を成長戦略の柱に据えた。USスチール買収はその重要な足がかりとなるはずだった。

日鉄と組合、埋まらなかった溝

 買収計画に立ちはだかったの…

この記事は有料記事です。残り2253文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
榊原謙
アメリカ総局|米国経済担当
専門・関心分野
米国経済、世界経済
  • commentatorHeader
    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2025年1月4日2時4分 投稿
    【解説】

    バイデン大統領が出した指令でも、米国の安全保障を脅かすと信じるに足る証拠がある、と書かれていた。鉄鋼生産のサプライチェーンを国内に留めることが安全保障上重要であるとしても、その鉄を使って何を作るのか?米国はすでに造船能力が著しくかけており、

    …続きを読む