昨年9月末、宝塚歌劇団の宙組に所属する劇団員の女性(当時25)が公演期間中に亡くなった。公演は中止され、歌劇団は今年3月、過重労働や先輩劇団員らによるパワーハラスメントを認めて遺族に謝罪した。宙組公演は6月に再開されたが、再発防止のための組織改革はまだ続いている。
歌劇団の歴史に詳しい松本俊樹・大阪音楽大学講師(近代日本演劇史)に、この1年の歌劇団の対応について聞いた。
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この1年間で改めて、宝塚歌劇団はブラックボックスになっている部分が多い組織だと感じました。3月末に発表した組織改革についてもそうです。どのくらい進んでいるのか、本気で取り組んでいるのか。いまだに見えにくい。
公式サイトに掲載されている組織改革の説明は、具体的なイメージが湧きにくく、読んだだけでは全体像が見えてきません。外部識者で構成するアドバイザリーボードも、4、6月に開かれて以降の情報の更新がなく、その後の動きが見えない状態です。
6月、宙組の公演が約9カ月ぶりに再開した際、公演前に舞台に立った理事長は、劇団員が亡くなったことにも、具体的な組織改革についても言及しませんでした。新型コロナ感染拡大による公演中止では再開する時に、安全に公演を実施するための感染対策の説明があったのに、です。
「安全に公演ができる状態で…