「女性活躍」政策が過重労働生む? アフリカ開発で起きた矛盾
寄稿・友松夕香さん(アフリカ地域研究者、法政大学教授)
日本でもアフリカ諸国でも、女性の「活躍」や「エンパワーメント」が政策スローガンとして掲げられている。しかし、女性の過重労働も起きている。
私は約20年にわたって、ガーナをフィールドに人々の日常生活を研究してきた。近年ガーナでは首都アクラの経済発展が進み、日本と同じ価格帯のレストランや商業施設も増えている。しかし、格差が拡大する中、大多数の人々の暮らしは楽ではない。特に私が調査してきた内陸農村部の状況は依然厳しい。
こうした中、女性たちは日々重労働をこなしている。夜明け前に火をおこし、朝食を準備し、家族が身体を洗うための湯を鍋で沸かす。日が昇って暑さが厳しくなる前に、水くみも終えなければならない。水道が整備されている地域は限られており、たとえ近くにあっても、代金が払えなかったり壊れていたりすると使えない。このため、家から離れた貯水池や井戸に娘たちと何度も足を運んで往復し、水がめを満たす。
ようやく水くみが終わっても、女性の一日は始まったばかりだ。子どもたちを水浴びさせ、朝食の後片付けをする。洗濯、昼食・夕食の準備と食器洗いもある。家事に加え、雨期は農作業、乾期は農作物の加工、また集落や市場を歩き回って物売りをして収入を得るのだ。妊娠中や乳飲み子を抱える女性の労働は、さらに過酷だ。働き者が称賛される一方で、女性たちが漏らす不満は疲れと夫や息子たちの稼ぎの少なさである。
なぜ女性たちは、これほどま…