最も美しい「はにわ」ともいわれる「挂甲(けいこう)の武人」が国宝に指定されて50年になるのを記念して、東京国立博物館(東博)で10月16日から特別展が開かれます。約120件が出品される過去最大級の「はにわ展」。見どころの一つが、東博所蔵の「武人」と、それとよく似た国内外の4体が初めて一堂に会する「5兄弟」集結です。同館主任研究員の河野正訓さんに、「はにわ」のおもしろさ、奥深さを聞きました。
――そもそも、「はにわ」とは何ですか。
「3世紀半ばから6世紀にかけて、日本列島で独自に作られた素焼きの造形物です。『王』(その土地の有力者)の墓である『古墳』の上や周囲に並べて置かれました。古墳は東北から九州までで約16万基見つかっており、はにわも広い地域から出土しています」
「日本は酸性土壌で木製品などは完全な形で出土しにくいのですが、はにわは当時の光景を映し出す、とてもおもしろい遺物だと思います」
――副葬品として墓に埋めるのではなく、外に並べるのには、どんな意味があるのでしょう。
「研究者にもいろいろな意見がありますが、まず、古墳が造られた時期を踏まえて考える必要があります」
接待の痕跡? 王の物語? はにわは何を語る
「初めの頃は、円筒やつぼの…
- 【視点】
動物をかたどった埴輪で最も早く登場するのは鶏のものです。纒向遺跡(奈良県)の「坂田地区」と呼ばれる一帯から出土しました。 4世紀初めごろのものと考えられており、これはほかの動物はもちろん人をかたどったものよりも古い。埴輪が登場した最初期から
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