札幌駅の再開発ビル、JR北海道が「規模縮小も検討」 工事費高騰で
JR北海道などが札幌駅南口の旧エスタ周辺で計画している再開発ビルについて、JR北の綿貫泰之社長は16日の定例会見で、道内一の高さのビルを建てるとする計画を「規模縮小も含めて検討している」と述べた。階数や床面積を減らす方向で考えている。新たな計画は今年度内に示す予定だ。
2030年度前後を見込むビルの開業計画については「現時点では変えるつもりはない」とも語ったが、実現は不透明だ。
再開発ビルは、30年度末を予定していた北海道新幹線の札幌延伸に合わせ、JR北や札幌市などでつくる再開発組合が整備。地上43階・地下4階、高さ約245メートルで、オフィスや商業施設、国際ブランドのホテルが入る計画だ。
だが、当初は総額2500億円と見込んでいた事業費が、近年の物価高騰による人件費や資材価格の値上がりで、数百億円単位で膨らむのは必至。30年の開催をめざしていた札幌冬季五輪の誘致もなくなり、新幹線延伸もトンネル工事の遅れや工事費の高騰などから数年単位の遅れが確実視されている。
鉄道事業の大赤字に悩むJR北は、駅ビルやホテルといった鉄道以外での収益増に望みをつなぐ。実際、札幌駅直結の商業施設「アピア」「札幌ステラプレイス」を運営するグループ会社「札幌駅総合開発」のショップ売上高は、エスタも営業していたコロナ禍前の19年9月は約80億円あったが、エスタ閉業から1年経った今年9月は55%減の43億円だった。
再開発ビルの規模を縮小すればその分、もうけも減る。だが綿貫社長は「工事費がいろいろな面で上がっている。では待っていたら下がるのか、という状況でもない」とこぼした。