第5回「郊外女性」争奪戦 生涯の共和党員がハリス氏の広告に出演したわけ
激戦州の勝敗、ひいては大統領選の勝敗を分けるカギを握るのが、大都市を取り囲むように広がる郊外地域だ。共和党と民主党がしのぎを削ってきたが、前回大統領選では共和党のトランプ前大統領(78)から離れる中道寄りの「郊外女性」たちが注目を集めた。民主党のハリス副大統領(60)はここに狙いを定め、「反トランプ」票の取り込みを急いでいる。
ペンシルベニア州最大の都市、フィラデルフィア中心部から車で約1時間。幹線道路を走ると、高層ビルが立ち並ぶ都市から一転、のどかな農園風景が広がる。沿道にはトランプ氏とハリス氏それぞれに対する支持を示すヤードサイン(宣伝板)が競うように並んでいた。この地域に、選挙戦で一躍有名になった夫婦がいる。
チェスター郡の農家クリスティーナ・ラングさん(57)は、共和党員の家族のもとに育ち、共和党員として生きてきた。2016年の大統領選では、トランプ氏に投票した。20年は棄権したが、今回24年の大統領選ではハリス氏を支持することを公言している。今も「生涯の共和党員」を自任しているが、共和党候補だとしてもトランプ氏だけは再び大統領にしてはいけない、と思い定めている。
きっかけは新型コロナウイル…