裸で、泰然と、ただ無邪気にそこにいた。その普遍性はさまざまな境界を溶かし、多くの人を引きつけた。各界から、谷川俊太郎さんを悼む声が届いた。

吉増剛造さん「宇宙のような広がり」

　詩人の吉増剛造さんの話　谷川さんの詩には、いつも「ひとりぼっち性」とも呼ぶべきものが存在していました。それは「孤独」とも少し違う。原始的で、無邪気で、純粋な魂がそのまま表に出ているような。そんな幼心のようなものが、いつも詩の中心にあったと思います。

　谷川さんは私より８歳ほど上で、最初から特別な存在でした。誰にも属せず、ひとりぼっちで「宇宙」のような広がりを保つ。人間だけでなく、動物や植物、鉱物さえ感じられるような感覚が息づいた、ひとりだけ、まったく違う宇宙を持った存在でした。

料理愛好家の平野レミさん「和田さんと、とっても仲良しだった」

　イラストレーター・和田誠さん（2019年死去）の妻で、料理愛好家・平野レミさんの話　谷川先生と和田さんはたくさんの作品を一緒につくりました。とっても仲良しで、しょっちゅう「谷川さんとごはんだから遅いよ」と。

　和田さんが亡くなった時、新…