「自国第一」のジレンマ トランプ再選に、欧州の右翼が喜べないわけ
欧州大学院大学ロベール・シューマン高等研究所 キャサリン・フィエスキ研究員
欧州各国で、極右とされる政党が第1党になるなど「右派ポピュリスト」勢力の台頭が顕著になっています。同様に「自国第一」を唱えるトランプ氏が米大統領選で返り咲いたことで、さらに勢いづくとの見方がある一方、欧州大学院大学ロベール・シューマン高等研究所のキャサリン・フィエスキ氏は、「むしろ難しい立場に立たされるだろう」と言います。なぜなのでしょうか。
――トランプ氏の再選で、欧州の右派勢力にはどのような影響があるのでしょうか。
欧州での右派ポピュリズムの台頭は、もはやあらがえない動きになっています。しかし、私は彼らが今後、難しい立場に置かれると見ています。
欧州の右派ポピュリストに、フランスの右翼政党「国民連合(RN)」のルペン前党首やイタリアのメローニ首相、ハンガリーのオルバン首相が挙げられます。ただ彼ら彼女らはポピュリストであると同時に、ナショナリストでもあるのです。
トランプ氏が「米国第一主義」であるように、彼らもまた自国第一です。つまり、これはトランプ氏が米国の利益に反すると言って厳しい経済政策を持ち出すようなことになれば、自国が不利な立場になり、有権者から「ノー」を突きつけられる可能性があるのです。イデオロギー的な近さだけで、当選にもろ手をあげて喜ぶと見るには限界があります。
安全保障と引き換えに求められる代償
――トランプ氏は選挙戦から、関税の引き上げをちらつかせています。
トランプ氏には、欧州各国は…