脱ハラスメントの時代、変わる日本酒のイメージ 若者ひきつける魅力

有料記事

沼田千賀子 大村美香
[PR]

 東京都内で11月上旬に開かれた全国きき酒選手権大会。7種類の日本酒が用意され、参加者が色や香りを確かめ、味わった。会場では若者の姿も目立った。

 愛媛大3年で、日本酒サークルのメンバーとして活動する木村勇紀さん(21)は、もともと日本酒にあまりいい印象を抱いていなかった。「お酒に飲まれちゃってる人が飲んでいるお酒、というイメージがあって」。だが、先輩に誘われて日本酒に親しむようになり、よさに気づいた。

 「全国にあまねくあるのに、各地で違う。コミュニケーションの入り口になるし、ちびちびと飲み進めるので、会話を楽しみながら人との関係を深めるのにぴったり」

「自分にあうお酒が見つかる」

 4年の大西優太朗さん(22)も「バリエーションが豊富で、必ず自分にあうお酒が見つかる」と話した。

 大会は、日本酒文化を広めようと日本酒造組合中央会が主催し、1981年から続く。個人や団体の部に加えて、2013年からは、若い人たちが日本酒に接する機会になればと、大学対抗の部も開催。今年は16大学18チームの36人が競った。

 愛媛大の2チーム4人は「地域文化研究会」という日本酒サークルで、ファンの裾野を広げようと活動する。学生約100人が審査員となって味や香り、価格、ラベルのデザインを対象に県内の蔵元がつくった日本酒を「審査」。選んだ日本酒の試飲や販促を通して、同世代に日本酒の魅力を伝えたいという。

 昨年、個人の部で優勝した植松みなみさん(25)も会場にいた。日本酒好きが高じて4月に酒造メーカーに就職した。日本酒の魅力を聞くと、「多彩さ」と返ってきた。「こうじや酵母で味や香りの違いがでる。味の幅が大きくて、いろんな食事に合わせられる」

 若い世代の日本酒への関心の高まりについて、「2011年に発生した東日本大震災の被災地支援や応援消費が契機になった」という説がある。

地域や大人との交流で出会う

 日本酒を中心に国産酒の企画…

この記事は有料記事です。残り792文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
大村美香
くらし報道部|食と農、消費者庁
専門・関心分野
食と農