この夏、米の品薄が大きな話題になりました。一方で、街ではおにぎりの専門店が人気を集めています。私たちはいま、米をどう食べているのか。消費と生産について3回、考えます。
まるでおすし屋さんのようなカウンターに20種類近くの具が並ぶ。注文を受けたら、ご飯の中に具を入れてふんわりと三角形に整える。のりを巻き、上にも具をのせたら完成。東京都品川区に昨年10月オープンしたおにぎり専門店「一汁おにぎり 一粒万福」には、朝から近所の人や観光客が訪れる。
社長の早川由華さん(28)は祖父母が兼業農家。「お米を使って日本の文化を発信する事業がしたい」と起業した。人気の具は、サケとしょうゆ漬けのすじこを包んだ「さけの親子」(税込み650円)や、しょうゆ漬けの卵黄と肉そぼろをあわせた「お月見そぼろ」(同450円)など。
「家庭ではまねできない具のぜいたくさと多様さで、外食産業としてのおにぎりの形を追求している」と話す。
具に現れる地域性
沖縄という地域性を全面に出したおにぎり専門店もある。「ポーたま」(本社・沖縄)のおにぎりは、豚肉を加工したポークランチョンミートと卵焼きが、二つ折りにしたご飯とのりに挟まれている。見た目はどちらかというとサンドイッチに近い。
焼いたポークと卵、ご飯の組み合わせは沖縄では定番で、定食やおにぎりとして親しまれている。大阪出身の同社社長、清川勝朗さん(54)は2000年に沖縄に移住し、妻が朝ご飯に作ってくれたできたてのポーク卵おにぎりのおいしさに感激。14年に「ポーたま」を創業した。沖縄、福岡、熊本、東京、大阪、ハワイに計13店展開する。
おにぎりもさまざまに変化してきた。ぐるなびがその年の世相を反映した食を選ぶ「今年の一皿」は、15年は握らずできる「おにぎらず」、23年は「ご馳走(ちそう)おにぎり」だった。
人気の理由にSNS映えやできたて味わうスタイル
23年の選定では、豊富な具材から選べて見た目の華やかさがSNS映えすることや、店でできたてを味わうスタイルなどから「おにぎりがごちそうに進化した」と分析。専門店の出店も相次ぎ、海外でも「オニギリ」で浸透しているという。
「おにぎりと日本人」(洋泉社)の著書がある法政大学大学院の増淵敏之教授は、海外から日本に帰ると、おにぎりとみそ汁が食べたくなるという。
「おにぎりは日本のソウルフ…
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- 【視点】
高級なおにぎり屋さんが増えていますが、寿司屋のようなカウンターだと四百円くらいしてもそんなに高く思えません。 個人的には歳を重ねるうちに食欲が減ってきているので、お昼や朝はおにぎり1個で満足です。料理をする手間も省けて、手軽においしく食
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