成績下位4分の1の恐怖 学生3万人弱に「警告」 修学支援新制度
「安心して学べない。大学に通えなくなる恐怖がいつもある」――。2020年度から始まった、低所得世帯向けの修学支援新制度(新制度)の学業要件をめぐり、学生らから悲鳴があがっている。単位数や出席率のほか、集団の中で下位の成績が続くと奨学金と授業料減免がともにストップする項目があるからだ。困窮世帯の学生を救うはずが、「他人との比較」によって途中ではじき出す仕組みになっているとして、教員らからは見直しを求める声があがる。
「私だけの努力じゃどうにもならない」
ある茶話会が7月末、滋賀県立大で開かれた。新制度を利用する学生4人が集まり、菓子を口にしながら近況を語り合う。新制度では、GPA(成績評価の平均)が学科などの集団の下位4分の1に入ると「警告」を受け、2回受けると奨学金の支給と授業料減免がストップする。
文部科学省によると、昨年度末で警告を受けた学生は2万9983人(全体の11・7%)で、うち2万7732人が「下位4分の1要件」が理由だった。茶話会の話題はこの要件に集中した。
ある2年生は「私の学科では、成績はみんな団子状態と聞く。少しでも気を抜くと4分の1に入ってしまう。苦しい。私だけの努力じゃどうにもならない」。
茶話会の場を提供する同大の杉浦由香里准教授(教育行政史)は「素点平均が81点の学生でもGPA下位4分の1という理由で『警告』の対象になった。経済要件より成績要件が重視され、普通に卒業できる成績でも『学業成績不振』の烙印(らくいん)を押されて支給がストップする。非道だ」と話す。
「相対評価は所属するグループによって順位が大きく左右され、個人の努力が反映されづらい。特に集団が少人数の場合、適正な評価は難しい。困窮世帯の学生だけが競争にさらされ、自由に学ぶ権利を奪われている。まっとうな仕組みではない」
この2年生は、半ば本気で周囲に言いたいことがあるという。
「お金があるみんなは勉強し…