成田空港近くの農園で害虫対策の実験 JALアグリと大学院生の会社

小林誠一
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 日本航空(JAL)グループで、農園や古民家風レストランなどを運営する「JALアグリポート」(千葉県成田市)は、大学院生が社長を務める会社と共同で、害虫対策に関する実証実験を成田空港近くの農園で始めた。害虫を捕食したり寄生したりして殺虫する生物的防除手段「天敵昆虫」を活用する。化学農薬の使用量を減らし、農作物の品質向上を目指す試みだ。

 実証実験は、JALアグリポートの農園にあるイチゴの試験区ビニールハウス(約190平方メートル)で、11月25日に本格始動した。来年5月ごろまで行う。

 イチゴの害虫ハダニに対し、県内で捕獲したミヤコカブリダニなど2種の「天敵昆虫」を放飼。被害に軽減効果がどれくらいあるか、検証する。

 JALアグリポートが手を組んだのは「ビオエッグ」(川崎市)。法政大大学院で応用動物昆虫学を学ぶ平山大稀さん(26)が社長を務め、いとこと2人で経営する。実証実験では、平山さんが2週間に1回程度、農園に足を運んで状況を観察するという。

 この実証実験が実現したのは、平山さんとJALアグリポートの花桝健一社長(49)との出会いがきっかけだった。

 共通の知人を介して知り合い、「安全・安心な農作物を提供し、持続可能な農業を実現したい」との思いで一致した。

 実験に使う天敵昆虫は、農薬として新たに登録の必要がない県内産を、平山さんが各地で捕獲した。

 両社によると、イチゴのハウス栽培で、天敵昆虫の使用は珍しくはないが、輸入のものは価格や安全性に不安があるという。平山さんは「成果を農家に還元したい」と語り、花桝さんは「この取り組みで地域活性化に貢献したい」と話している。

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