ネーミングライツ、橋本市が新たに公募始める

大野博
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 自治体などが企業に公共施設などに愛称をつける権利を与え、見返りに契約料をもらうネーミングライツ命名権)事業。すでに6施設で実施中の和歌山県橋本市が今月から、新たに7施設について来年4月からの命名権の公募を始めた。今回は施設だけでなく、四つの事業・イベントについても応募を受け付ける。

 7施設の内訳は、市図書館、浄水場や配水池など水道関係の計4施設、歩道橋(2カ所)と高野口公園。市が今回新たに実施するイベントの命名権は、プロ野球の「SMBC日本シリーズ」のようなイメージを想定しているという。対象は「すこやか橋本まなびの日」「いきいきルーム」「空家バンク」「学校図書館蔵書・新聞整備事業」。

 このうち空家バンクは、建設業者、宅地建物取引業者、司法書士など、空き家対策の関連事業者に応募資格を限る。

 橋本市がネーミングライツの公募を始めたのは2022年4月分から。市運動公園と産業文化会館・温水プールの命名権は、いずれも市内の清涼飲料メーカー「サカイキャニング」が取得。歩道橋3カ所にも別の契約社がつき、市は年間計250万円(税抜き)の収入を得ている。

 今回の11件について、すべて市の希望金額で契約が成立した場合、命名権料収入は年額計680万円(同)になるという。

 命名権事業をめぐっては、プロ野球の本拠地球場など全国各地の著名な施設で、命名権を得た企業の不祥事により契約が解除されたり、企業側からの申し出で途中で契約が打ち切られて違約金が発生したりといった問題も起きている。橋本市ではそうした例はまだないが、担当者は「審査を通じて、市のイメージダウンにならないような手立てをとっていきたい」と話す。

 平木哲朗市長は、所得税がかかる年収の最低限度を示す「103万円の壁」の見直しによる地方財政への影響にも言及しながら、「今後、税収の減少が想定される中、市としても少しでも収益を上げる方法を考えていかないといけない。ネーミングライツにふさわしいもの、という条件に沿って、さらに広げていきたい」と話している。

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