アートが雑草に、雑草がアートに見える 深化する須田悦弘の超絶技巧
編集委員・大西若人
路傍の雑草を見て、アート作品?と思う人がいたら、それは美術家・須田悦弘(よしひろ)(56)の影響だろう。いや、須田の作品を見た後は、誰もがそうなるはずだ。東京の美術館では25年ぶりという東京・渋谷区立松濤美術館での個展に、改めてそんな思いを抱く。
須田は30年以上、彩色した木彫で植物を表現してきた。虫食い穴まで彫り、ちょっと見ただけでは本物にしか見えない超絶技巧。でも近づけば、確かに彫り跡も分かる。
さらにその展示方法。自ら仮設空間をしつらえたこともあったが、基本は展示場所を読み込む方式。今回、「雑草」と題した作品は複数あるが、床と壁の境目といった、「いかにも」の場所に配されている。いや、生えている。
「ドクダミ」(2024年)…
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