(社説)情報漏洩疑惑 兵庫県は調査を急げ

社説

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 兵庫県の幹部が、公務員としての守秘義務に反した恐れがある情報漏洩(ろうえい)を行ったのか。行っていた場合、その狙いは何だったのか。兵庫県、そして県議会も調査を急がねばならない。

 元県民局長の男性(7月に死亡)が斎藤元彦知事にまつわるパワハラなどの疑惑を告発したことに関連し、告発後の4月、当時の県総務部長(8月に総務部付に異動)が、男性が使っていた公用パソコンに保存されていたとされる私的情報を、複数の県議に見せたり口頭で伝えたりしていた疑いがもたれている。

 この問題は週刊文春が7月に報じた。斎藤氏は知事失職前の9月、前総務部長ら県幹部に確認したがいずれも関与を否定したと説明した。

 一方、文書問題に関する県議会調査特別委員会(百条委)が先週、非公開で県議への聞き取りを実施したところ、前総務部長から私的情報について教えられたとの説明が複数からあったという。

 斎藤氏の側近の一人だったとされる前総務部長は、百条委の証人尋問で10月、男性の私的情報を印刷したファイルを所持していたと認めつつ、それを持ち出したかや第三者に示したかについては「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」などとして証言を拒否した。

 男性は5月、県庁の内部公益通報窓口による調査が進むなか、人事課の調査に基づき懲戒処分された。前総務部長は人事課を所管する立場にもあった。

 問題が報じられてから約5カ月が過ぎた。斎藤氏は新たに第三者委員会を立ち上げる考えだが、遅きに失した感は否めない。百条委も、必要なら前総務部長に再び証言を求めるなど調べを尽くす責任がある。

 男性の個人情報を巡っては、出直し知事選で再選を目指す斎藤氏を応援するとして立候補した立花孝志氏が、男性の公用パソコンにプライバシーに関する文書があったとし、百条委はそれを隠していると主張。知事選後に公用パソコンの中身とする画像をSNSに投稿し、拡散された。

 一方、百条委は、男性のプライバシーに配慮して調査するよう代理人から申し出があったことを受け、プライバシー情報の内容は告発文書とは無関係として調査対象としない姿勢をとっている。納得できる対応だ。

 立花氏の説明が事実なら、男性のプライバシーが侵害された状況がネット上で放置されていることになる。斎藤知事は事態の深刻さを認識し、対応を急ぐ必要がある。

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