自民党の派閥による裏金作り疑惑は、日を追って拡大する一方です。内閣官房長官ら政権中枢の議員が、不正に関与した疑いを持たれています。問題はなぜ起きたのか。この状況をどう考えるべきか。「政治とカネ」を取材してきたジャーナリストの青木理さん(57)に聞きました。
――今回の問題をどのように受け止めていますか?
東京佐川急便事件(1992年)は一つの典型ですし、リクルート事件(88年)やロッキード事件(76年)などもそうですが、巨額の裏金を賄賂としてひそかに渡すような、かつての「政治とカネ」の問題とは少し位相が違っていると思います。
これまでも「政治とカネ」をめぐる事件が起きるたびに世論の批判が高まり、それに押されて政界も政治資金規正法などをそれなりに改定し、一方で必要なカネは公費で支えようと政党助成制度なども導入してきました。
それに伴って政治家個人への企業・団体献金は一応禁止され、一種の代替手段として政治資金パーティーが盛んになったわけです。
しかし、政治資金規正法が結局のところ「ザル法」で、政治をめぐるお金の流れが根本的には透明化されず、これだけ大きな問題が再び表沙汰になったという意味では、「相変わらず」という感もあります。
「泥棒に鍵を作らせたら」
――政治資金規正法が「ザル法」であるがゆえに起きた問題なのでしょうか?
政治資金規正法は間違いなく…
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