美術館の監視員さんはもっと自由でいいと思う件について
久しぶりの一枚の写真シリーズ
パリ、ポンピドゥー・センターの美術館で、監視員さんがあまりにかっこよかったのでパチリ。
先日友人のFacebookで、ポンピの監視員さんのかっちょいい写真が上がっていて、思い出して探してみたら出てきた。
友人が撮った写真の人も、ちょうどこんな感じで足を組んでた。
海外の美術館では、監視員さんがスマホいじってたり、おしゃべりしていることはとても多い。
まあ、そりゃそうだと思う。
座っているだけの仕事は退屈だ。
それでも、さぼっているように見えて、お客さんが絵の質問を投げかけると的確に答えてくれることもある。
っていうか、監視員さんに質問をする人が海外の美術館では結構多いなあと思う。
なんかさ、素敵じゃん?
そうして質問したり感想を投げかけることができるお客さんも、その質問に答えたり自分の感想を言える監視員さんも。
日本の美術館の監視員さんには、本当に頭が下がるけれど
いつも、感謝の気持ちに「見ていて辛い」気持ちが複雑に入り交じる。
座っていたっていいのに。
スマホいじったり、お客さんとおしゃべりしてもいいよ。
ずっと立ったまま、黙っておじぎして、姿勢をくずすこともなく
ペンを取り出す人や、ペットボトルを出した人を見つけたとたん、すっ飛んでいって注意して
それなのに、混雑して見えないという苦情や文句を言うわがままな客のはけ口にされてしまったり。
美術館の監視員さんは人間なのに、なんだかロボットみたいで悲しい。
なんか、昔はもっとおおらかに座っている監視員さんが多かったのに
最近はとっても厳しいというか、直立不動の姿勢で立ち歩いている人が増えた。
とってもタイヘンな仕事だと思う。
私のフランスの友人に、甥が画家をしながら、ルーブルの監視員のしごとをしているという人がいる。
絵が大好きでずっと描き続けて、個展をしたりもしているけれど
それだけでは食べられないのでルーブルで働いている。
大好きな絵に一日囲まれていられるから、とてもうれしいのだそうだ。
今日はもう一枚発掘された写真。
パリのモロー美術館にて。
モロー美術館って、もうパラダイスみたいなところなんだけど>笑
この大量のモローの絵の真ん中で座っている、かなりのイケメンがこの階の監視員さん。
絵になる。
彼の手にあるのは、ipad
足を組んでなんか見てる。
で
足元になんか置いてあるでしょ。
これはスケッチブックなんだ。
ペットボトルだって置いてある。
日本ではありえない。そもそもペットボトルの持ち込みが固く禁じられている。
写真はもとより、模写もだめなところが多い。
おおらかすぎる。どうなのか。
思わずパチリとしてしまったこのあと、見に来ていた家族連れが彼に話しかけて
それからしばらくの間、彼らはモローの絵についてあれこれ談義をし続けていた。
なんか、とっても平和な光景だった。
いろいろ注意を払ったり監視をするのはきちんとやらなくちゃだけど、
絵が大好きな人が、絵に囲まれて仕事ができて
お客さんと絵の話ができて、まあ、暇なときはスケッチブックに鉛筆ぐらいでなら絵を描ける
美術館の監視員って、なんかそういうことができてもいいように思うんだけど
だめなのかなあ。
日本では監視員さんは派遣やバイトがほとんどだそうで
なかなかそういうわけにはいかないのかもだけど
いろんなこと知ってて、話しやすい監視員だらけっていう美術館は、きっと楽しいと思うぞ。
そして何よりも、座らせてあげてほしいし、暇なら別に本ぐらい読んだっていいよーって私などは思っちゃうんだけど
最近の東京の展覧会は人が多すぎて、なかなかそういうわけにはいかないんだろうなー。
スーパーのレジも座らせてあげればいいと思うし(そうすれば、車椅子の人だってレジの仕事ができる)、デパートの人も一日立ち続けるのはタイヘンだから、レジのあたりで座っていたってぜんぜんよいよーと私は思うんだけど、日本はほんとに真面目で、労働者はいろいろタイヘンじゃ。
ところで、私は図書館司書の資格を持っていて、真剣に地域図書館の司書になりたかったのだけれど、日本の行政内では司書は専門職として雇用されることがほとんどなく、役所の人事異動のひとつで選択できないとわかって、あきらめた経緯がある。
それでも、どうしてもやりたくて、当時地域図書館として最先端と言われていた公共図書館に、バイトでもよいのでさせてもらえないかと電話をかけたことがある(えらいぞ)。
その時は求人はありませんと断られたけれど、半年ぐらい経ってから「産休補助の席があるけど来ませんか?」って言ってもらって、念願の地域図書館での仕事を半年ほどした。本の登録から貸出や検索業務、絵本の読み聞かせまでさせてもろて、あれはとっても素敵な経験だった。
一番ステキだと思ったのは、本の場所を聞かれると、図書館の人たちは迷うことなく魔法のように本を取りにいけるし、資料検索もさくさくこなす、誇りを持ったプロ集団だったってこと。
図書館の未来は明るい! ってあのときは思ったんだけどなあ。
どうなっちゃったんだろうなあ、日本の図書館行政。
子どもの手が離れて、少し自由時間ができた時に、また司書の仕事がしたくて図書館の仕事を探したら、今は派遣会社がバイトを紹介するシステムになっていて、バイトの仕事は司書業務ではなくて、本を棚に戻すなど限られたことしかさせてもらえないと聞いて、なんだかとっても悲しくなってしまったんだった。
バイトであっても美術館や図書館みたいな場所にいる人は専門的な知識があったほうが絶対によく
訪れる人も、そうした人をリスペクトして、同等におしゃべりしたり質問できるような雰囲気があったらいいなーって思う。
で、こうした人材にちゃんと報酬を出せる仕組みもあってほしいなーって思う。
働く人はもっと大事にされてよいよ。
そんなこんなの2枚の写真の思い出。
モロー美術館のにいちゃんはほんまイケメンじゃった。
反芻して、寝る。