ペットだった野猫、今や豪州の脅威…でも苦しむ駆除NG

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キャンベラ近郊=小暮哲夫
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 広大な土地に、独自の多様な野生生物が暮らすオーストラリア。そこにすむ動物たちにとって今、大きな脅威となっている存在がある。18世紀の英国による入植後に持ち込まれ、野生化した、その動物とは――。

 ユーカリの木々が点在する広大な草原を数分歩くと、茂みからハリモグラが現れた。近くの池のほとりに目をやると、カモの家族がたたずんでいる。ワラビーも時折、姿を見せる。

 首都キャンベラから車で30分ほどのところにある自然保護区「ムリガンズ・フラット」。動物たちの穏やかな姿が見られる一方で、全体を囲むように続く無機質な金網が目を引く。黄色い文字の警告表示には「電気柵」と書いてあった。

 485ヘクタールある保護区の周囲は金網で囲まれている。全長11・5キロの金網は、保護区内の動物たちを守ろうと、首都特別地域政府が2008~09年に設置した。何から守るのか。それは、野生化した猫だ。

 金網の最上部は曲線の形で…

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この記事を書いた人
小暮哲夫
GLOBE編集部副編集長
専門・関心分野
オセアニア、東南・南アジア、多文化社会