路上で吐き泣いて出勤 謎の腹痛「あなたは心の弱い人」

有料記事患者を生きる

松浦祐子
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 医師のエマ・大辻(おおつじ)・ピックルスさん(42)が、自分のおなかに違和感を抱き始めたのは、高校1年の時だった。

 1日3食の食事をする度に、もたれて苦しくなり、おなかはスイカが入っているかのように膨れた。

 本来は62センチのウエストが一気に80センチほどになった。

 友人たちのおなかは食べた後も変化はなかった。不思議に思い、家族に尋ねると、「食べたら、みんなおなかは出るものよ」と言われた。

 一晩寝たら、翌朝にはおなかは真っ平らに戻っていたこともあり、「ぽっちゃり系の家系のせいかな」と納得していた。

 受験勉強を乗り越え、慶応大法学部へ進学。新しい世界にチャレンジしたいと、モデル事務所に所属した。そこで、56キロだった体重を「2カ月で48キロまで落とすように」と指示された。

 1日、夜1食だけ食べる生活が始まった。

 周囲にはストイックなダイエットをしているように思われたが、実は1食だけの方がおなかの苦しさが少ないことに気づいた。

 昼間に食べなければ、おなかがふくれることもなく、体にぴったり合ったおしゃれな服を着ることも楽しめた。

 モデルのオーディションは30回近く受けたが、すべて落ちた。「努力しても顔は小さくならないし、手足も伸びない」と悟り、約2カ月で事務所は辞めた。

 ただ、その後も夜1食だけの生活は続けた。そうすれば、体は楽だった。けれど、食べればおなかが膨れるのは相変わらずだった。

 「それ、奇病だよ」

 夕食後に大きくなったおなか…

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