「おしゃれする気力もない」更年期だと気づき、ホルモン剤のんだら…

有料記事患者を生きる

神宮司実玲
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 何をしても、おもしろくないな――。

 2005年ごろ、当時48歳だった東京都の女性(65)は、そう思うことが増えた。

 おだやかな性格だと思っていたのに、ささいなことでいらいらした。

 自分が自分じゃないみたい。変な感じがした。

 当時、エステティシャンの資格を持ち、美容学校で週3回、非常勤講師をしていた。

 最新の情報を学んで学生に教える立場なのに、内心は「(慣れている仕事を)回していればいいや」。もっと良くしようという気持ちもなくなっていた。

 美容に関わる仕事を始め30年弱。海外で学び、商品開発に関わるなど、好奇心が強い方だと思っていた。それなのに……。

 眠りが浅く、毎朝起きるとからだの裏側がコチコチに固まっている。

 ひざ裏から背中、腰全体まで入念にストレッチをしないと外出できなかった。

 犬の散歩がなければ、仕事がない日は寝ていたと思う。

 玄関の鏡をみると、首元のしわや増えた白髪に落ち込んだ。

 お笑い番組をみても楽しくなくて、チャンネルを変えた。老眼が始まり、文字を見るのがつらくなったことも気分を暗くした。

 51歳でエステサロンの教育部門に転職し、より実践的な内容を教える新しい仕事についた。

 仕事の日数も増えたが、体調はさらに悪くなっていった。

仕事が終わっても、帰路につけず…

 「来るかな。あ、やっぱり来た」

 1日に何度も、突然、胸元から上がカッと熱くなる。街行く人がコートを着るような冬の時期でも、電車内で暑くなってコートを脱いだり、駅に着く頃には寒くなってまたコートを着たり。

 人前で話していてカッと熱くなり、顔が赤くなるのが、恥ずかしかった。

 頭痛や息切れ、手のしびれ、ふわふわ感、物忘れなどの症状にも悩まされた。

 何とか仕事を終えても頭痛と…

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