第4回連合赤軍が残した深い傷 政治の時代の終わりとサブカルへの違和感
聞き手・石川智也
のちに「機動戦士ガンダム」の作画監督として名を成すことになる安彦(やすひこ)良和さん(74)。アニメ業界に生活の糧を得て働き詰めになっていたころ、古傷をうずかせるような事件が起きた。連合赤軍メンバーによるあさま山荘事件は人々をテレビに釘付けにしたが、その後発覚した同志12人リンチ殺人事件は、世を震撼(しんかん)させることになる。逮捕されたメンバーには、安彦さんの弘前大全共闘の仲間で、大学本部封鎖でともに処分された5人のうちの2人、植垣康博さんと青砥幹夫さんの名もあった。
【連載】ガンダムと戦争と歴史と 安彦良和が語る
「機動戦士ガンダム」の生みの親の一人、安彦良和さんに新作公開を機にその世界観を存分に語ってもらいます。
連合赤軍事件によって学生運動はとどめをさされ、新たに若者の心を捉えたのは、アニメや漫画といった「サブカル」だった。新人類世代が牽引(けんいん)するそのブームの下で寵児(ちょうじ)となった安彦さん。しかし心中では、違和感が澱(おり)のように積もっていた。
――運動仲間だった植垣さん、青砥さんが事件に加担していたことを知った時は、何を思いましたか。
「すーっと心が暗くなるよう…