アトピーかゆみの仕組み、一つ解明 症状改善物質も発見、新薬開発へ

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野上隆生
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 佐賀大学医学部の出原(いずはら)賢治教授(アレルギー学)らの研究グループが、アトピー性皮膚炎でかゆみが生じる仕組みの一つを解明したと発表した。症状を改善する化合物も発見。今後、日本医療機器開発機構(東京)と連携し、塗り薬を想定した新薬開発に取り組む。

 米科学誌「セル・リポート」オンライン版に今月、論文が掲載された。

 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が主な症状。ひっかくことで皮膚の保護機能が低下し、さらに症状を悪化させる。集中力低下や不眠にもつながる。小児や若者に多い病気で、日本皮膚科学会ガイドラインによると、20歳以下では人口の10%程度が罹患(りかん)しているとされる。

 研究グループは遺伝子組み換えマウスを使った実験で、皮膚組織に含まれるたんぱく質「ペリオスチン」が、知覚神経の細胞表面にあるたんぱく質「インテグリン」と結合し、脳にかゆみを伝える仕組みを解明した。

 ペリオスチンは組織の構造を維持するなどの働きがあるほか、様々な刺激によって発現し、インテグリンと結合して細胞内に信号を送る働きがある。ペリオスチンは様々なアレルギー疾患との関わりが知られているが、今回、知覚神経に直接作用してかゆみを引き起こすことが確認できたという。

 さらにグループは、アトピー性皮膚炎とは異なる用途で製薬会社が開発を進めていた低分子化合物「CP4715」により、ペリオスチンとインテグリンの結合が阻害され、症状が抑えられることも確認した。アトピー性皮膚炎を起こさせたマウスにCP4715を投与すると、ひっかく行動が減ったという。

 グループはこの化合物の効果…

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