母に目撃されても続いた祖父の性暴力 刑事になって知った家族の苦悩

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編集委員・大久保真紀
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 人生最低で最悪の瞬間だった。

 16歳のときだ。

 ある夜、祖父と一緒に寝ていたベッドルームに母が入ってきた。祖父としていることを目撃された。

 《あー、神様、ありがとう。これですべて終わりになる》

 そう思った。

 しかし、次の瞬間、その期待はもろくも崩れた。

 母は大きなため息をつき、何も言わず、ドアを閉めて、部屋から出ていってしまった。

 米国・シアトルに住むロバート・A・シリング・ジュニアさん(72)は自らの体験を振り返り、こう言う。「いまとなってわかるのは、私も私自身を守ることができず、母も私を守ることができなかった」

元警察官の米国人・ロバート・A・シリング・ジュニアさんは、同居する祖父から性暴力を受けました。警察官になって知ったことは、祖父の行為は自分にとどまらなかったということです。いまは国際的なNGOの共同創設者となり、子どもへの性暴力撲滅を目指して活動を続けています。彼がどんな体験をし、どんな思いを抱きながら生きてきたのか そして、いまがあるのかを語ってくれました。

 祖父からの性暴力が始まった…

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この記事を書いた人
大久保真紀
編集委員
専門・関心分野
子ども虐待、性暴力、戦争と平和など
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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2023年5月7日17時18分 投稿
    【視点】

    見出しを呼んで、思わずクリックして読みだした記事です。    ただ、見出しと出だしの数段落からは外国の話であること分からず、日本の話と思って読み進んでいくうちに、カタカナ名が出てきて、米国の話であること分かりました。    もし

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