地方の女性、東大目指さず「特有の壁」 自ら調査した2人組の危機感
首都圏以外に暮らす女子高校生は、東京大学など偏差値の高い大学への進学にメリットを感じず、資格取得を重視する傾向にある――。東大生でつくる学生団体がこのほど、そうした調査結果を発表した。東大合格者の女性比率は2割ほど。周囲の環境などから、高偏差値の大学に進学しようという意識になりにくい実態が明らかになった。
調査は2~4月、地方の女子高校生の進学選択肢を広げようと活動する東大生の団体「#YourChoiceProject」(#YCP)が主体となって実施。東大合格者数が例年5人以上いる――などを目安に、全国の97高校に調査を依頼し、2年の男女計3716人から回答を得た。
大学進学に関する自身や保護者の意識など約20項目を尋ね、主に5段階で答えてもらった。その上で、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県を「首都圏」、それ以外の道府県を「地方」として、「首都圏男子」「首都圏女子」「地方男子」「地方女子」に分けて分析した。
東大など偏差値の高い大学に行くことが「自分の目指す将来にとって有利だと思うか」との問いには、首都圏では男女差がなかったものの、地方では女子の方が明らかに「有利性を感じていない」という結果が出た。
また、「偏差値の高い大学に行くことよりも資格のある職業に就くことを重視する人」が、地方の女子高校生では28・5%おり、地方男子の17・9%などと比べて高かった。#YCPでは「地方の成績の良い女子高校生は、医師や薬剤師の資格を取る人が多いことが推察される」とする。
合格可能性の高さと偏差値の高さの重要度を比較したところ、合格可能性を重視する地方女子は50・8%で、非常に高かった。首都圏男子は24・9%、首都圏女子は33・6%、地方男子は38・5%だった。地方女子の安全志向がうかがえるという。
専門家「地方の女子の進学意欲がゆがめられている」
保護者の意識についても高校…
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