拘禁刑の導入へ「組織風土の変革を」 刑務所暴行問題で第三者委提言
名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官22人が受刑者に暴行などを繰り返していた問題で、法務省の第三者委員会(座長=永井敏雄・元大阪高裁長官)は21日、再発防止策を斎藤健法相に提言した。規律秩序の維持を過度に重視する風土があったとして「組織風土の変革なくしては、すべての再発防止策が現場に浸透することはあり得ない」とした。
懲役と禁錮をなくし、拘禁刑に一本化する改正刑法が2025年までに施行される。刑罰の目的が「懲らしめ」から「立ち直り」に転換されるのを念頭に、受刑者の尊重や特性に応じた処遇の実現などを厳しく求める内容となった。斎藤法相は「相当踏み込んだ提言をしてもらった。実行に移していく」と述べた。
同刑務所の刑務官22人は21年11月~22年9月、受刑者3人に対して顔をたたいたり、胸ぐらをつかんだりする暴行や、申し出を無視するといった行為を繰り返し、不適切な言動は400件超に上った。第三者委は「悪ふざけ」や「優越感を味わうため」という動機もあったとし、「受刑者への虐待やいじめというべき行為が常態的に行われていた」と認めた。
意思疎通が難しい受刑者に対し、特性に応じた処遇が組織的に検討されないまま「力で押さえ付ける手法に頼り、規則に従わせる画一的な対応を行った」とし、他の職員が目撃しながら上司に報告せず、不服申し立ても適切に受け付けていなかったとした。
提言書は、刑務官や作業指導…