第6回「満州アヘンスクワッド」180万部突破 なぜ漫画に?原作者に聞く

有料記事偽りの帝国 満州アヘンマネーを追う

編集委員・永井靖二
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 満州国を舞台に、日本人の少年がアヘンの密造に手を染める姿を描いた漫画「満州アヘンスクワッド」。現代の読者には縁遠い舞台やテーマにかかわらず、単行本の累計発行部数は180万部を突破した。なぜいま、「満州」や「アヘン」なのか。原作者の門馬司さん(33)に聞いた。

満州アヘンスクワッド

 週刊ヤングマガジン(講談社)で連載中の漫画作品で、原作は門馬司氏、漫画は鹿子氏。2023年6月に単行本13巻が発売され、単行本の累計発行部数は180万部を超える。

 ――アヘンをテーマに据えたのは、どんな理由からでしょうか?

 まず、「昔のもの」であることです。現代の事物を取り上げると倫理観から抵抗を感じる人も出やすい。80年以上も昔という時代背景も込みで、いま、はやっている合成麻薬ではなく、アヘンという古いタイプの薬物を取り上げれば、読者の共感を得やすいのではないかと考えました。

 アヘンという言葉自体に、謎めいた語感があります。加えて、作り方はシンプルだけれど、高度な精製には職人芸が必要だという部分も、登場人物の才能を絡めることができ、物語を弾みよく進められると思いました。

 ――旧満州を舞台に選んだ理由は?

 まず史実として、「アヘンといえば満州」と言えるほど、アヘンが広まっていた実態があったということ。「満州」という地名自体にも、特に若い世代には、言葉は知っているけれど、実態はよく知らない部分があると思いました。読者を引きつけられる舞台として、「もう、これしかない」という感じでした。

 ――「満州国」に、どのようなイメージを持っていましたか?

 ひとことで言えばカオスです。「これでどうやって国が成り立っていたんだろう」という疑問が湧いてくる。「本当にこんな所が存在したんだ」と思うような、ちょっと不思議な存在ですね。

 実際にアヘンはあったし、専売もされていた。ただ、過剰に「日本軍は悪だ」というようにはしたくないと思っています。アヘン漬けにして軍の資金を稼いだみたいな言い方を、悪くすれば言うこともできますけど、すでにその前からアヘンは広まっていた。非合法な組織や裏社会に流れるんだったら、「じゃあ軍で管理しよう」となったという見方もできる。一概にこれがいいのか悪いのか今の時代の我々には判断できない部分もあるのかなと思ってます。

インタビューの後半では、実際の漫画「満州アヘンスクワッド」のコマとともに、キャラクター設定の意味を深掘りします。

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 ――満州で、主人公がアヘン密売という「悪」に手を染めていく。物語を組み立てる際、どういった点に力を入れていますか?

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この記事を書いた人
永井靖二
大阪社会部|災害担当
専門・関心分野
近現代史、原発、調査報道
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