子どもの貧困 大学進学・就職しても「チャラ」にならないハードル
子どもの貧困対策法の成立から10年。地方の貧困家庭で育ち、今はライターとして貧困などについて記事を書くヒオカさんに、貧困が及ぼす影響や対策のあり方を聞きました。
――この十数年で子どもの貧困への注目は高まりました。
「子どもの貧困は発展途上国だけの話ではない、日本にもあるんだということは、だいぶ社会の共通認識になってきたのではないかと思います。ただ、まだまだ足りないと思うことばかりです」
――どこが足りないのでしょうか。
「報道や支援団体が発信する情報では、極端な体験がフォーカスされ、悲惨さを強調し、あおるようなものもあります。私自身が取材を受ける時も、そうした体験談を求められることがあります。関心を引くための入り口なのでしょうが、入り口からどこに着地させるのかは考えないといけないと思います。個人の体験談からどれだけ、貧困の構造や本質に目が行くでしょうか。悲惨なドラマや映画を見たような感覚で終わってしまいかねません。かえって『貧困とはこういうもの』と枠を限定してしまう作用もあるでしょう」
「『かわいそう比べ』になってしまい、『同情できるか』がバロメーターにされると、『同情できない』とみなされた対象は排除されます。スマホを所有しているだけで、ぜいたくだとたたかれる。マスコミが取りあげるのも絶対的貧困(飢餓など、生きていく上で必要最低限の生活水準がない状態)の事例が多く、相対的貧困(同じ国・地域の人たちと比べて所得が少ない状態)はあまり取りあげません」
――何が見落とされているのでしょうか。
「私が大人になった今も感じている貧困の影響は、目に見えにくいものです。一般家庭では受けられる、『生き方』の英才教育の機会が乏しいのです」
――生き方、ですか。
「『安物買いの銭失い』にな…